2023/09/01

保育園の頃からの仲の友人と会った。二週間程前に地元四国から東京に来るという連絡があり、美術館に行く約束をした。会うのは3年ぶりだったと思う。当日、11時に美術館で待ち合わせをしたが入口が二箇所あったようで落ち合うのに時間がかかった。入口の前のベンチに座っている友人らしき人を見つけて恐る恐る近付いた。やたら背筋が伸びていて前だけを見つめていたその人物を3歩前で友人だと確信し、すぐ隣で足音を大きく立てた。その瞬間顔を向けた友人に手を上げて「よっ」と声を掛ける。3年前ショートカットだったはずの彼女の髪の毛は胸あたりまで伸びていた。友人の分のチケットも私が買っていたので中に入る前にチケットのお金を貰った。平日だったが中にはそれなりの人がいた。美術館に行くのは4年前に上野の森美術館でやっていた永井豪展に行って以来のはずだ。その日行ったのはラジオ爆笑問題の日曜サンデーでの宣伝で知った、テート美術館展 光 ― ターナー印象派から現代へ。田中裕二ターナーと光でほぼ爆笑問題じゃんと何気なく発言していたのになんだか惹かれた。もともとその友人と会うときはなにかしら展覧会に行こうと決めていたのでちょうどよかった。私はいつもこういう浅い気持ちで生きている。中の一部作品は撮影可能で印象的な作品もいくつかあったが私は昔から写真を撮るという行為がなぜか苦手で撮影には抵抗があった。多分それは私がカメラを向けられることが苦手なことからきているんだと思う。周りのほとんどの客は携帯で作品を撮影していた。不安になり撮影しておいたほうがいいのかなと友人に聞くと、目に焼き付けろと言うので私は安心して一度も携帯を取り出すことなく展示場を出た。

美術館を出た後、私の好きな谷口正造の個展が開催されていたので電車で神宮前駅まで向かった。個展に行く前にどこかでお昼を食べようという話しになり友人はマクドナルドが食べたいと言うので何度か行ったことのあるハンバーガー屋に案内した。場所も個展の会場が近かったのでちょうど良かった。中に入ると奥の小さなテーブル席に案内された。4年ほど前に来たときも同じ席だったことを思い出した。私はベーコンチーズバーガーとハイボール、ポテトは細切り、友人はダブルバーガーにアボカドトッピングとスプライト、ポテトは皮付きを注文した。ハンバーガーが来るまで美術館で見た作品の話や友人の弟の話、仕事の話をした。お互いに目を合わせることが苦手で60秒に1回程度目を合わせながら喋った。食べ終わる頃に隣のテーブルに4人の若い男性がやってきた。特に何かあったわけではないが、友人の顔をあまり見れなかったばかりに、その時の映像を思い出そうとするとなぜかその4人の男性が思い浮かんだ。店を出て個展の会場へは1分で辿り着いた。ずっと好きだった谷口正造の絵を生で見るのは初めてだったので感動した。もちろんそこでも写真を撮ることはなかった。いつかお金に余裕が出来たら作品を買いたい。そうしたら部屋に飾ってあるその絵の写真を撮ろうと思う。

僕のレテパシーズ「君しかいない」Music Video /谷口正造(絵) - YouTube